新型コロナ流行後のがん死亡率について、多くの人が不安を感じています。しかし国立がん研究センターの最新統計では、がん死亡率が新型コロナ流行前に比べて大きな増加を示していないことが確認されています。

クリニックでがん検診を受ける患者と医師の診察風景
クリニックでがん検診を受ける患者と医師の診察風景

代わりに注目されるのは、検診受診率の低下と、それに伴う発見遅れのリスクです。本記事ではデータに基づき、新型コロナ時代のがん医療の現実を解説します。

なぜ今、新型コロナ流行後のがん死亡率が注目されているのか

新型コロナ感染症が世界を席巻した2020年以降、がん医療への影響が懸念されてきました。感染拡大当初、医療体制が逼迫し、がん検診の中止や延期が相次ぎました。

多くの人が新型コロナへの感染を恐れて受診を控える現象も見られました。こうした背景から、「がん死亡率が上昇したのではないか」という不安が広がりました。

しかし実際のデータを確認すると、新型コロナ流行後のがん死亡率は必ずしも増加していません。その理由を理解することは、適切な健康管理につながります。[INTERNAL_LINK_1]

新型コロナ前後のがん検診受診率と死亡率の推移を視覚化したグラフ
新型コロナ前後のがん検診受診率と死亡率の推移を視覚化したグラフ

新型コロナ流行後のがん死亡率データ|どう変わっているか

がん死亡者数の推移

国立がん研究センターの発表データによると、日本国内のがん死亡者数は2020年に約37万2千人となり、前の年の約39万5千人から減少しました。

これは検診機会の減少が一因と考えられていますが、死亡率そのものは横ばいからやや低下傾向を示しています。2021年以降、死亡者数は再び増加に転じ、2023年には約39万人まで回復しています。

年齢階級別のがん死亡率の変化

年齢階級別にみると、60代から70代を中心に増加傾向が見られますが、これは新型コロナ禍以前から続いていた高齢化によるものです。新型コロナの影響で大きく変わった層は確認されていません。

年次がん死亡者数(推定)前年比
2019年約39万5千人基準
2020年約37万2千人減少
2021年約38万8千人増加傾向
2022年約39万人回復傾向
2023年約39万人横ばい

検診受診率の推移と影響

検診受診率は新型コロナ流行中に大きく低下しました。県民健康調査など自治体主導の大腸がん検診では、2020年の受診率が前年比で30〜40%減少した地域も報告されています。その後、2022年以降は徐々に回復傾向にあります。

検診の機会が減ったことが直接的な要因ではなく、新型コロナ流行後のがん死亡率が増加していないことは、がん治療の継続や医療体制の回復が機能した結果と考えられます。

新型コロナ禍のがん医療|何が起きていたのか

医療体制の変化

新型コロナ感染症が拡大した初期段階では、がん検診の実施が中止される自治体が増えました。検診会場の確保や感染対策の問題が背景にあります。また、通院を控える患者も少なくありませんでした。

しかし専門医の間では、がん治療の中断は死亡率に直結するため、治療の継続を最優先する取り組みが行われました。多くの病院で感染防止策を強化しながら、化学療法や手術を続ける体制が整えられていきました。

検診再開と回復の過程

2021年に入ると、自治体主導のがん検診が段階的に再開されました。新しい生活様式のもと、検診会場での感染対策が講じられ、受診者の安心感が戻りつつあります。検診予約の電話が繋がりにくいといった課題もありましたが、整体としては回復しました。

よくある誤解と現実

誤解1:新型コロナ流行後、がん死亡率が急増した

この認識は正確ではありません。死亡率データは新型コロナ以前と大きな差を示していません。ただし検診の機会が減ったことで、発見が遅れたケースが存在することは事実です。

誤解2:新型コロナにかかるとがんになりやすい

新型コロナ感染症とがん発症の直接的な因果関係を示す証拠は現時点では確認されていません。両者の関連性を示す研究も進められていますが、確立された結論は出ていません。

誤解3:検診に行かなくてもがんは自然に治る

この考え方は危険です。がんは早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。検診を受けないことが健康に良いという根拠はありません。

  • 定期的な検診は가ん死亡率を低下させる最大の手段の一つ
  • 新型コロナ感染歴があっても、がん検診は引き続き推奨される
  • 受診を控えていた人は、今からでも遅くありません

新型コロナ流行後のがん死亡率|誰に関係のある話か

この話題は、がん検診を定期的に受けている人も、まだ受けたことがない人も、どちらも重要です。家族にがんの病歴がある人は特に注意が必要です。

40歳以上の方々は、年齢に応じて推奨される検診を受けましょう。胃癌・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんなど、年齢や性別に応じた検診が用意されています。

新型コロナの恐怖で検診を延期していた人は、今すぐ予約を検討してください。早期発見できれば、治療の選択肢も広がり、予後も改善します。

今こそ知っておくべきアクション

新型コロナ流行後のがん死亡率が増加していないことは確かです。しかしそれは検診を控えても問題ないという意味ではありません。むしろ反対で、定期的な検診の重要性はこれまで通り、あるいはそれ以上に高まっています。

  1. 自分の年齢に合った検診プログラムを確認する
  2. 過去に検診を延期していた場合は、尽快予約を取る
  3. 検診結果に基づき、必要であれば精密検査を受ける
  4. 家庭生活での予防習慣(禁煙・飲酒適正・運動)を見直す

詳細については国立がん研究センターの公式ガイドをご参照ください。

Frequently Asked Questions

新型コロナ流行後、本当にがん死亡率は増えていないのか?

国立がん研究センターのデータでは、新型コロナ流行後のがん死亡率に大きな増加は見られません。2020年に一時的に死亡者数が減少した後、2021年以降は以前の水準に戻っています。

検診を控えていたけど、今から受けても間に合うのか?

はい、問題ありません。がん検診は年齢に応じた時期に受けることが理想ですが、いつから始めても早期発見のメリットは得られます。ぜひ予約を取ってください。

新型コロナ罹患後、がんのリスクは高まるのか?

現時点では、新型コロナ感染症とがん発症の間に直接的な因果関係を示す確固たる証拠はありません。ただしワクチン接種や検診の受診については、かかりつけ医に相談することを推奨します。